前向き×分析×政策で生きる

メーカー勤務、中国駐在中のアラサー男。「前向き×分析×政策」の仕事へ大きく転換させようと画策中

日本的なウェルビーイングとは?

前回記事にした矢野和男著「予測不能な時代」を読んで、ウェルビーイングの重要性に遅ればせながら気づいたので、今回はメディアでもちょこちょこ見かける石川善樹さんの著作「むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました - 日本文化から読み解く幸せのカタチ」の解説をします。

 

Well-being(ウェルビーイング)の研究は欧米が進んでいて、約80%を占めるが、欧米と日本では当然文化が違うので、欧米の研究結果をそのまま受け入れることは難しい。そのため、日本の文化に合わせたウェルビーイングを探していこうというのが本書の目的である。

ChatGPT作「まんが日本昔ばなし

まんが日本昔ばなし」はウェルビーイングの宝庫

石川さんは「まんが日本昔ばなし」が古くからの日本人の考え方を理解する上でとても参考になるという。本書では欧米と異なる日本文化をいくつか挙げている中で一つ示すと、日本はネガティブ、謙遜の文化であるということ。欧米の物語は主人公の成長してハッピーエンドが多いが、「まんが日本昔ばなし」では、結局成長しない、バッドエンドの物語も多くあるという。なので、日本人がウェルビーイングを考える際に、欧米の考え方のように自己肯定感を持つべきと考えるのではなく、自己肯定感が低いありのままの自分を認めることが大事だという。

 

ウェルドゥーイングを求める社会

ウェルビーイングとは、being=「いる」ことである。存在しているだけでOKというのは最高のウェルビーイングではないかという。現代社会は、仕事でも家庭でもWell-doing=「する」が求められている。これに疲れ切っている人間が本能的にウェルビーイングを欲しているからこそ、ウェルビーイングの時代になりつつあるという。

 

江戸時代のウェルビーイング「連」と「号」

ウェルビーイングになるための一つの手段として、居場所を複数持つことがいいという。江戸時代は大衆の中で俳句を詠みあうことが盛んで、「連」というサロンのような会があちこちで開かれていたという。そこに皆が本名とは異なる「号」というハンドルネームを持ち参加する。一人の中では複数の「号」を持つのが当たり前であったという。人間は色々な側面があり、周りの人が違えばその人も違う側面が出るということはよくあることで、現代社会でも江戸時代のように、一人が複数の居場所をもち、色々な側面を出すことができるようにすることが、ウェルビーイングに繋がるという。

 

感想

本書を読んで、「ウェルビーイングとは○○」というような定義はできず、地域によって文化によって人によって様々な形のウェルビーイングがあるのだと改めて感じました。科学のようなものとは異なり、ウェルビーイングは欧米ではこうだからといって取り入れるのではなく、自分たちに合ったウェルビーイングを各人が見つけていく必要があると感じた。