前向き×分析×政策で生きる

メーカー勤務、中国駐在中のアラサー男。「前向き×分析×政策」の仕事へ大きく転換させようと画策中

テクノロジーで幸せを実現する未来

本日は、日立製作所で幸せを研究している矢野和男さんの著作「予測不能の時代 ー データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ ー 」の解説です。あと10年もしないうちに、政府の政策、企業の製品、個人の働き方全てが、測定される幸福度を基準にして判断する時代が到来するのだろうと思いました。幸せになりた人(全人類?)にぜひ読んでほしい1冊です。

 

人類の最上位目的=幸せ

著者の矢野さんは、20年日立製作所半導体の研究をしていた中、事業撤退によって次の仕事の選択を迫られた中、人生の目的に立ち返り、「幸福」こそが人間にとってブレな唯一の目的であると考え、テクノロジーによって幸福を追求するという仕事に舵を切った。古代ギリシャ時代のアリストテレスも「二コマコス倫理学」の中で、「全ての活動の目的は幸せ」と言い切っている。矢野さんはスマートフォンがまだ登場していない2003年から研究を始め、名札型やリストバンド型のウェアラブル端末を自作して、人の活動量や人同士の対面時間のデータを集め、幸せな人と幸せでない人の行動の違いを研究した。

 

幸福の三角形

メンバーの幸福度が高い組織はどのような組織であるか、それを矢野さんは突き止めた。以前からコミュニケーションや人の繋がりが幸せにとって重要であるという研究はあったが、彼の研究結果では、組織のコミュニケーション量は幸せとは関係がなかった。しかし、下図のように、ある人にとってよく話しをする二人が、その二人の間でも会話があるという3角形の関係がある人は幸福度が高く、逆に二人の間に会話がないV字の関係ばかり持つ場合は幸福度が低いというものである。したがって、組織図のレポートラインのような上司‐部下の縦の関係ばかりで仕事を行い、横の繋がりがない組織が幸福度が低いという結果である。

社員がイキイキと働ける会社に必要なこととは? ハピネスプラネット社CEOの矢野和男さんに聞く、ウェルビーイングな組織のつくりかた | 東京センチュリーNEWS

 

幸せな人ほど生産性が高い

また、幸せな人ほど仕事の生産性が高いという研究結果もある。幸せな人は、営業の生産性が30%高く、創造性が3倍という結果がある。これは幸せな人ほど、つらいことや面倒なことを行う行動が増えるが、幸せでない人は気晴らしの行動が増えるという理屈である。

 

幸せをつくるテクノロジー

彼は最近、先ほどの三角形の関係を組織の中で増やすアプリを開発している。アプリでは一日の仕事の始めに、「今日はどんなことをしますか?」といったお題が出され、その解答をアプリが選んだ他の2人に通知し、その2人がコメントを返すという仕組みを作っている。スマホによって各人の行動データを計測し、そのデータからV字の関係を見つけて人を選ぶというスゴイ仕組みとなっている。

 

感想

このようなテクノロジーによって幸せが作れるというのは目から鱗であった。私は周りとの雑談が苦手だと常々感じている。仕事のことであれば積極的に喋れるが、雑談は何を喋っていいか分からず、だんまりでいることも多い。自己理解セミナーのようなところに参加すると、そのようなコミュニケーションに関する悩みを持っている人はたくさんいると感じる。それをテクノロジーによって解決し、幸福度を高められるというのはとても期待の持てる話でした。