前向き×分析×政策で生きる

メーカー勤務、中国駐在中のアラサー男。「前向き×分析×政策」の仕事へ大きく転換させようと画策中

#コミュ力なんていらない

コミュニケーション力について悩んでいる人はとても多いと思う。かく言う私もその一人。先日参加した自己理解セミナーの中で、自分の”興味のあること”を見つけるための質問「あなたのコンプレックスは何ですか?」が出たときも、コミュニケーションが苦手と答えている人がとても多く、自分だけじゃないんだーと改めて思った。

 

じゃあ「一体コミュ力ってなんだろう?」と考えていたときに、石倉秀明さんの著書「コミュ力なんていらない - 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術」を見つけた。著者はリクルートDeNAで働いたのち、現在はベンチャー企業のCOOをしている方。

コミュ力と仕事力は分けて考える

とても参考になる本でした。著者自身が、社員との飲み会でも気づいたら一人になってしまうことがあるというような「コミュ障」であるという。しかし、「コミュニケーション力がなくても仕事で成果を出すことができる」という、彼自身の体験から学び・実践してきたことが述べられている。

 

仕事に必要なコミュ力とは?

彼曰く、仕事における最も重要なコミュニケーション力はシンプルに下記2つ。

①相手の話を理解すること

②自分の伝えたいことを相手に伝わるように話すこと

確かに、あまりコミュニケーション力を複雑に考えず、この2つだけをできるように心掛ければ、コミュ障の私でもかなり楽に考えることができると思いました。

 

コミュニケーション力を因数分解すると?

ただ、世間一般のコミュニケーション能力とは色々なものが含まれている。コミュニケーション力を漠然と考えて苦手意識を持たずに、それをきちんと因数分解して、コミュニケーション力の中で自分が得意なところと苦手なところを分けて考えるべきだという。

コミュニケーション力の因数分解

種類:目的完遂型/関係構築型

手法:話す/聞く

対応:察する/空気に合わせられる/仲良くなる

人数:一対一/グループ/大人数

ツール:対面(リアル)/非対面(オンライン会話、テキスト)

私の場合(著者も似たようですが)、雑談のような「関係構築型」のコミュニケーションは苦手であるが、仕事内容の「目的完遂型」であれば「話す」「聞く」もある程度でき、一対一、テキストを使ったコミュニケーションであれば得意です。このように考えて、自分の得意な形でコミュニケーションを行い、苦手なことはなるべく避けたり、率直に周りに苦手だと伝えればいいと著者はいう。

 

聞きづらいことも聞くと答えてくれる

石倉さんの強いところは、他者の気持ちを察することはできないと開き直り、聞きづらいことも臆せず聞くことにしていること。これができると仕事は有利になるという。これは私はできていないなと思います。あまりこれは聞いてほしくなさそうだなという相手の様子を見て、聞くことを一旦やめて、やっぱり必要だったとなって、後から聞くみたいなことをよくやって仕事の効率が悪いときがあるなーと思います。

 

コミュ障にとって一番つらい「会食」

本書では場面場面でコミュ障はどのように立振る舞えばいいか教えてくれているが、「会食」のときの石倉さんのやり方は「注文係に徹すること」だという。下座に座り、グラスが空いていれば「次、何飲まれますか?」、お皿が空いていれば「何かとりますか?」という役に徹して、質問がきたら答えればいいという。それでいいと言ってくれるのは心強い。私もこれからはそれでいいと考えようと思いました。

 

石倉さんは、子供のことから自分の苦手なところは諦め、得意なところで勝負するということにフォーカスすることが上手な方で、苦手なところをどう回避するかという思考がとても参考になりました。ぜひ、コミュニケーションが苦手という方に読んで頂きたい一冊です。

貪欲にウェルビーイングを求めていこう

前回、前々回記事にしたように、ウェルビーイングに関する本を読み、ウェルビーイングに興味を惹かれている中で、「ウェルビーイングを研究している大学はたくさんあるのかな?」と思い、「ウェルビーイング 大学」で検索したところ、ウェルビーイング大学”とやらを見つけました。Webページを見てみると、これはオンラインサロンで、前野隆司さんというウェルビーイングの研究者が立ち上げたものらしい。

www.well-being-design.jp

このオンラインサロンは月額1000円で参加でき、ウェルビーイングの研究発表会や少人数クラス、部活動など色々な形でサロンメンバーと交流できるようで面白そうなので参加しようと思いました。ただその前に、前野隆司さんが夫婦で出されている著書「ウェルビーイング」を読んでから参加しようと思い、読んでみました。

 

前野さんの研究では、「幸せの4因子」といって、幸せになるためのマインドを日本人に合ったものとして示している。

【コラム 前野隆司のウェルビーイング講座】第2回 幸せの呪文「アリアリナンヤッ!」 | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan

 

本の中で、この「幸せの4因子」を含めた幸福度に影響のあるものを調査するサイトの紹介があったので、私もやってみました。

幸福度診断Well-Being Circle

 

筆者の幸福度サイクル

青線が一般平均で、赤線が私の結果。なんだこの得体のしれない蜘蛛のような形は!(笑)。転職を考えているだけあって、「職場の幸せ力」が特に低い。やはり早急に転職した方がいいかもと改めて思いました(笑)

 

ウェルビーイング大学への参加申請は済んで、今は承認待ちです。ウェルビーイング大学での出来事もこれから発信していこうと思います。乞うご期待。

日本的なウェルビーイングとは?

前回記事にした矢野和男著「予測不能な時代」を読んで、ウェルビーイングの重要性に遅ればせながら気づいたので、今回はメディアでもちょこちょこ見かける石川善樹さんの著作「むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました - 日本文化から読み解く幸せのカタチ」の解説をします。

 

Well-being(ウェルビーイング)の研究は欧米が進んでいて、約80%を占めるが、欧米と日本では当然文化が違うので、欧米の研究結果をそのまま受け入れることは難しい。そのため、日本の文化に合わせたウェルビーイングを探していこうというのが本書の目的である。

ChatGPT作「まんが日本昔ばなし

まんが日本昔ばなし」はウェルビーイングの宝庫

石川さんは「まんが日本昔ばなし」が古くからの日本人の考え方を理解する上でとても参考になるという。本書では欧米と異なる日本文化をいくつか挙げている中で一つ示すと、日本はネガティブ、謙遜の文化であるということ。欧米の物語は主人公の成長してハッピーエンドが多いが、「まんが日本昔ばなし」では、結局成長しない、バッドエンドの物語も多くあるという。なので、日本人がウェルビーイングを考える際に、欧米の考え方のように自己肯定感を持つべきと考えるのではなく、自己肯定感が低いありのままの自分を認めることが大事だという。

 

ウェルドゥーイングを求める社会

ウェルビーイングとは、being=「いる」ことである。存在しているだけでOKというのは最高のウェルビーイングではないかという。現代社会は、仕事でも家庭でもWell-doing=「する」が求められている。これに疲れ切っている人間が本能的にウェルビーイングを欲しているからこそ、ウェルビーイングの時代になりつつあるという。

 

江戸時代のウェルビーイング「連」と「号」

ウェルビーイングになるための一つの手段として、居場所を複数持つことがいいという。江戸時代は大衆の中で俳句を詠みあうことが盛んで、「連」というサロンのような会があちこちで開かれていたという。そこに皆が本名とは異なる「号」というハンドルネームを持ち参加する。一人の中では複数の「号」を持つのが当たり前であったという。人間は色々な側面があり、周りの人が違えばその人も違う側面が出るということはよくあることで、現代社会でも江戸時代のように、一人が複数の居場所をもち、色々な側面を出すことができるようにすることが、ウェルビーイングに繋がるという。

 

感想

本書を読んで、「ウェルビーイングとは○○」というような定義はできず、地域によって文化によって人によって様々な形のウェルビーイングがあるのだと改めて感じました。科学のようなものとは異なり、ウェルビーイングは欧米ではこうだからといって取り入れるのではなく、自分たちに合ったウェルビーイングを各人が見つけていく必要があると感じた。

テクノロジーで幸せを実現する未来

本日は、日立製作所で幸せを研究している矢野和男さんの著作「予測不能の時代 ー データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ ー 」の解説です。あと10年もしないうちに、政府の政策、企業の製品、個人の働き方全てが、測定される幸福度を基準にして判断する時代が到来するのだろうと思いました。幸せになりた人(全人類?)にぜひ読んでほしい1冊です。

 

人類の最上位目的=幸せ

著者の矢野さんは、20年日立製作所半導体の研究をしていた中、事業撤退によって次の仕事の選択を迫られた中、人生の目的に立ち返り、「幸福」こそが人間にとってブレな唯一の目的であると考え、テクノロジーによって幸福を追求するという仕事に舵を切った。古代ギリシャ時代のアリストテレスも「二コマコス倫理学」の中で、「全ての活動の目的は幸せ」と言い切っている。矢野さんはスマートフォンがまだ登場していない2003年から研究を始め、名札型やリストバンド型のウェアラブル端末を自作して、人の活動量や人同士の対面時間のデータを集め、幸せな人と幸せでない人の行動の違いを研究した。

 

幸福の三角形

メンバーの幸福度が高い組織はどのような組織であるか、それを矢野さんは突き止めた。以前からコミュニケーションや人の繋がりが幸せにとって重要であるという研究はあったが、彼の研究結果では、組織のコミュニケーション量は幸せとは関係がなかった。しかし、下図のように、ある人にとってよく話しをする二人が、その二人の間でも会話があるという3角形の関係がある人は幸福度が高く、逆に二人の間に会話がないV字の関係ばかり持つ場合は幸福度が低いというものである。したがって、組織図のレポートラインのような上司‐部下の縦の関係ばかりで仕事を行い、横の繋がりがない組織が幸福度が低いという結果である。

社員がイキイキと働ける会社に必要なこととは? ハピネスプラネット社CEOの矢野和男さんに聞く、ウェルビーイングな組織のつくりかた | 東京センチュリーNEWS

 

幸せな人ほど生産性が高い

また、幸せな人ほど仕事の生産性が高いという研究結果もある。幸せな人は、営業の生産性が30%高く、創造性が3倍という結果がある。これは幸せな人ほど、つらいことや面倒なことを行う行動が増えるが、幸せでない人は気晴らしの行動が増えるという理屈である。

 

幸せをつくるテクノロジー

彼は最近、先ほどの三角形の関係を組織の中で増やすアプリを開発している。アプリでは一日の仕事の始めに、「今日はどんなことをしますか?」といったお題が出され、その解答をアプリが選んだ他の2人に通知し、その2人がコメントを返すという仕組みを作っている。スマホによって各人の行動データを計測し、そのデータからV字の関係を見つけて人を選ぶというスゴイ仕組みとなっている。

 

感想

このようなテクノロジーによって幸せが作れるというのは目から鱗であった。私は周りとの雑談が苦手だと常々感じている。仕事のことであれば積極的に喋れるが、雑談は何を喋っていいか分からず、だんまりでいることも多い。自己理解セミナーのようなところに参加すると、そのようなコミュニケーションに関する悩みを持っている人はたくさんいると感じる。それをテクノロジーによって解決し、幸福度を高められるというのはとても期待の持てる話でした。

天才 成田悠輔が考える未来とは

本日は成田悠輔さんの著書「22世紀の民主主義 ー 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」の解説です。

ChatGPT作「無意識データ民主主義」

無意識データ民主主義

本書の結論を先に言ってしまうと、彼は「無意識データ民主主義」と表現できる政治形態がこの先に来る未来の政治の形であるという。「無意識データ民主主義」とは、選挙も政治家も必要なくなり、国民が生活している中で生まれる、ニュースに対するコメントなどの意識的なデータから、腕時計などで測定できる生体センサーなどの無意識的なデータまでありとあらゆるデータから、GDPや幸福度などの指標を目標にしてアルゴリズムが政策を決定するという政治形態である。簡単に言うとAIが政治をするという、SF小説に出てくるディストピア的な未来にも聞こえるが、彼が言うようにこれはSFではなく、単純な未来予測であり、将来的に必ず実現されるであろう世界である。

 

私自身も本書の内容を読むにつれて、この「無意識データ民主主義」が実現する未来はいずれ必ず来るものと感じたし、実現してほしいとさえ思った。このように思わせる彼の論理の鋭さこそが、本書の醍醐味である。

 

Webサービスからの発想

彼曰く、データとアルゴリズムを用いたこの形態は、まだ政治の世界では全く実現していないし、実現されそうにもないことであるが、Webの世界では既に起こっていることで、我々の身近なものである。それが、AmazonYouTube、YahooなどのWebサービスである。これらのサービスでは、ユーザの登録情報や閲覧履歴などのあらゆるデータをもとに、オススメのニュースや本、動画などが出てくる。この仕組みこそがデータとアルゴリズムが成せるものである。この仕組みを政治の世界に適用し、日常生活のありとあらゆるデータを使えば、国民にとって最適な政策をAIが考えることなどそう難しいことには思えないし、逆にこれは人間にできる芸当ではない。

 

選挙の雑さ

本書でまた面白いのは、今の政治の仕組みへの考察である。選挙だけで民意を測り、さらに色々な政策をごちゃ混ぜにして一人の政治家、一つの政党を選ぶというのは昔からやってきたとても古い制度であり、雑な制度であると述べている。成田さんは、このように現状のおかしさを認識する力、客観的に現状を見る力が強いように感じた。また、Webの世界で起きていることを政治の世界で考えることのように、全く異なるものを抽象化して共通点を考える力が長けているようにも感じた。

 

未来を考える上でとても為になる本

本書は、未来の民主主義の話も面白いが、Webの世界から始まっているデータとアルゴリズムを使った自動化というものが、どの分野・どの産業でも確実に起こるだろうということを、政治の世界を例にしてクリアに認識させられるもので、未来の世界を考えたい人にとてもオススメできる本である。

 

恐るべき成田悠輔。

FC今治高校の衝撃

先日、元サッカー日本代表監督の岡田武史さんと橋本徹さんが対談したABEMAの番組を観ていたところ、岡田さんが学園長として2024年4月からFC今治高校を開校するという話が出て、これを聞いて私の心が熱くなってしまったという話です。

 

何に衝撃を受けたか?

衝撃はこの高校のカリキュラム。定期試験は一切無しで、座学の授業は法律上の最低限のコマ数で、残りの時間は「実学」の実践として、校外フィールドワークや有名人講師とのディスカッションをしたりして、自分の「好き」を見つけて探求することがメイン。

https://fcimabari-ed.jp/curriculum/

 

これまでの学校教育のあり方を覆す画期的なカリキュラムになっている。岡田さん曰く、「これからのAI時代には、暗記や論理的思考などこれまでの教育で培うものはAIに勝てないので、主体性をもって、周りを巻き込み行動する学生を育てる」という理念の学校であるという。

 

こんな教育受けたかった

これを聞いて、私はこのような教育を受けたかったと同時に、子供にこんな教育を受けさせたいと思いました。私が受けてきた教育は、大半が受動的に教えてもらうばかりの授業で、社会人に出てから求められるものとのギャップがとても大きいと思います。昔から教育が時代に合っていないと主張している人はたくさんいたように思いますが、全く変わる気配がなかったところ、岡田さんが風穴をあけてくれたように感じました。この教育こそ、未来の主流の教育になるだろうと思いました。

 

高校一年生で自己理解

さらに、私の大好きな「自己理解」を高校一年生のときに行い、高校2,3年生で自分のやりたいことを事業として行う活動があるということで、自己理解に夢中になった私としては、学校教育に自己理解が普及していくという私の望みが実現する予感を感じさせるものでした。

全人類必須の二十一世紀のメタスキル「自己認識力」

本日は、ターシャ・ユーリック著「Insight(インサイト)」を読んだ感想です。著者は「自己認識力は二十一世紀のメタスキル」であると論じています。自己理解にハマり中の私は、本書のまえがきに「自己認識とは?」という問いについに答えを出したということが書いてあったので、読まずにはいられませんでした。最近はとにかく、会った人全員に自己理解を勧めたいという思いを持ってしまうおせっかい野郎になってます。

ChatGPT作「自己理解大好き人間」

本書では、自己認識とは「内的自己認識(自分自身を理解する力)」と「外的自己認識(外から見た自分を理解する力)」の2つで構成されると言う。そして、現代はこの自己認識力が弱い人が増えていると言う。特に問題なのは、自分自身は自己認識ができていると思っている人が大半であるということである。

サンフランシスコで1000人のエンジニアを対象とした研究では、33%以上の人が自分のパフォーマンスは上位5%に入っていると考えいたという。また100万人の高校三年生を対象とした研究では、「協調性」という点で自分が平均以下であると答えた割合は2%だという。これらのように自分自身を理解できていながいゆえに、誤った選択をしたり、周りの人を不快にさせてしまう行動をとってしまう人が多いのだとという。

本書では、自己認識力を向上させるための方法を色々な角度から述べていて、お腹いっぱいになるくらいに色々な人の例とともに紹介している。

 

私の感想としては、自己理解メソッドとしてはやはり、「世界一やさしいやりたいことの見つけ方」の著書 八木仁平さんのメソッドが一番だと思う。八木さんが厳選した質問に答えることで、やりたいことが見つかると同時に、自分の価値観、長所、短所が見つかり、人生に迷いが少なくなるように思う。何と言っても、八木さんはとてもポジティブな気持ちにさせてくれて、やりたいことで生きるやる気を爆上げしてくれる。


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一方、本書は「内的自己認識」と「外的自己認識」の両方が必要であると述べ、特に「外的自己認識」に重きを置いてるように思う(八木さんは内的自己認識に重きを置いている)。なので、どちらかというと管理職やリーダー向けの本といった感じで、部下や同僚からの評価をきちんと認識して、成果を上げましょうといった内容。

 

一つ、とても面白かったと同時に少し読み進めるのが怖くなった内容は、「内省」をすることが必ずしも自己認識に繋がらないということ。自分で自分の性格や行動をなぜと問うと、最もらしい答えに飛びついてしまい、誤った自己認識になることが多いという。八木さんも言っているように、自己理解は心に従ってやるもので、頭で考えすぎるのはよくないのだと改めて感じました。