前向き×分析×政策で生きる

メーカー勤務、中国駐在中のアラサー男。「前向き×分析×政策」の仕事へ大きく転換させようと画策中

天才 成田悠輔が考える未来とは

本日は成田悠輔さんの著書「22世紀の民主主義 ー 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」の解説です。

ChatGPT作「無意識データ民主主義」

無意識データ民主主義

本書の結論を先に言ってしまうと、彼は「無意識データ民主主義」と表現できる政治形態がこの先に来る未来の政治の形であるという。「無意識データ民主主義」とは、選挙も政治家も必要なくなり、国民が生活している中で生まれる、ニュースに対するコメントなどの意識的なデータから、腕時計などで測定できる生体センサーなどの無意識的なデータまでありとあらゆるデータから、GDPや幸福度などの指標を目標にしてアルゴリズムが政策を決定するという政治形態である。簡単に言うとAIが政治をするという、SF小説に出てくるディストピア的な未来にも聞こえるが、彼が言うようにこれはSFではなく、単純な未来予測であり、将来的に必ず実現されるであろう世界である。

 

私自身も本書の内容を読むにつれて、この「無意識データ民主主義」が実現する未来はいずれ必ず来るものと感じたし、実現してほしいとさえ思った。このように思わせる彼の論理の鋭さこそが、本書の醍醐味である。

 

Webサービスからの発想

彼曰く、データとアルゴリズムを用いたこの形態は、まだ政治の世界では全く実現していないし、実現されそうにもないことであるが、Webの世界では既に起こっていることで、我々の身近なものである。それが、AmazonYouTube、YahooなどのWebサービスである。これらのサービスでは、ユーザの登録情報や閲覧履歴などのあらゆるデータをもとに、オススメのニュースや本、動画などが出てくる。この仕組みこそがデータとアルゴリズムが成せるものである。この仕組みを政治の世界に適用し、日常生活のありとあらゆるデータを使えば、国民にとって最適な政策をAIが考えることなどそう難しいことには思えないし、逆にこれは人間にできる芸当ではない。

 

選挙の雑さ

本書でまた面白いのは、今の政治の仕組みへの考察である。選挙だけで民意を測り、さらに色々な政策をごちゃ混ぜにして一人の政治家、一つの政党を選ぶというのは昔からやってきたとても古い制度であり、雑な制度であると述べている。成田さんは、このように現状のおかしさを認識する力、客観的に現状を見る力が強いように感じた。また、Webの世界で起きていることを政治の世界で考えることのように、全く異なるものを抽象化して共通点を考える力が長けているようにも感じた。

 

未来を考える上でとても為になる本

本書は、未来の民主主義の話も面白いが、Webの世界から始まっているデータとアルゴリズムを使った自動化というものが、どの分野・どの産業でも確実に起こるだろうということを、政治の世界を例にしてクリアに認識させられるもので、未来の世界を考えたい人にとてもオススメできる本である。

 

恐るべき成田悠輔。