前向き×分析×政策で生きる

メーカー勤務、中国駐在中のアラサー男。「前向き×分析×政策」の仕事へ大きく転換させようと画策中

元明石市長 泉房穂著「社会の変え方」に涙してしまいました

本書を購入したとき、まさか泣くとは思っていませんでした。タイトルだけを見ても、そんな内容を予想するのは難しいかもしれません。『社会の変え方』、この本は今メディアに引っ張りだこの元明石市長であり、最近は首相を狙っているような言動をしている泉房穂氏の自伝的な一作です。

序章

序章では、泉氏の幼少期からの生い立ちが描かれています。障害を持って生まれた弟を支えながら、弟に対する学校の対応や当時の優生保護法など、少数の困っている人が存在していないかのように扱う社会に怒りを持ち、この「冷たい社会」を変えるという強い覚悟をもったいきさつが書かれています。彼の子供時代の必死に弟を支える姿を想像し、思わず涙がでてしまいました。

政治家としての泉房穂

多くの人は泉氏を、子育て世代への支援策で有名な政治家として認識しているかもしれません。確かに、「18歳までの医療費無料」や「第2子以降の保育料無料」などの政策は大きな話題となりました。しかし、この本を読むことで、メディアではあまり取り上げられない障害者支援や児童相談所の設置など、社会の底辺にいる人々への手厚い支援も行っていたことがわかります。泉氏は社会福祉士や弁護士を公募し、市民からの相談に応じる体制を整え、行政の側から積極的に市民のもとを訪問しながら、困っている人たちを一人も取り残さないという姿勢を貫いていました。

多様な視点の大切さ

泉氏の人生観や政治姿勢は、彼自身の生い立ちや弁護士としての経験に根ざしています。彼は常に「多数派に属さない人々」を支えることを人生の使命としてきました。裕福な家庭で育ち、不自由なく生活してきた人にはなかなか理解し難いかもしれませんが、社会の片隅で苦しんでいる人々を見捨てない、という強い信念が彼の行動原理となっています。政策を担う者として、このような多様な視点を持ち、実際に困っている人を支える活動に携わることの重要性を痛感しました。

まとめ

『社会の変え方』は、単なる政治家の自伝ではありません。泉房穂氏の人生観、政治観が凝縮された一冊です。政治や行政に興味がある方にはもちろん、人間としての温かさや優しさを感じたい方にもお勧めの本です。読み終わった後にはある種の充実感と、社会に対する新たな視点を得られることでしょう。泉房穂氏の生き方や考え方に触れることで、私たち自身も日常生活の中で少数派の声に耳を傾け、より温かな社会を作るための一歩を踏み出せるかもしれません。『社会の変え方』は、ただの政策集ではなく、人としての成長にも繋がる一冊です。一読の価値ありです。